まれに見る春の佳き日に

2/6
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
 でも好きで仕方がない。今はいろんなセクシュアリティがあるけれど、私もマイノリティに属するのかもしれない。そう感じた。  なのに、これだ。怒涛にスマホを握りしめながら、言葉が溢れる。 「好きで、なんか、どうしようもない。愛情の器があったらあふれそう。私がよくないことしたとき叱ってくれて、つらいときはきみもつらいときもあるのに、軽いスタンスで励ましてくれたり。お互い趣味の嗜好はちがうけど、きみの好きな音楽聴いてると、ロックではじけて胸あったかくなるし、サブカルで結構ハード系なのに、その奥にある強さや柔さの音楽に涙溢れた。うちの猫が死んだ時、忙しいのに死ぬ前に遊びに来てくれて、すごくあの子も嬉しかったと思う。お姉ちゃんみたいだったあの子が死んだあともたまに折れそうになるのに、きみがかけてくれた言葉で何度も救われた。本当、感謝しかなくて、それで、」「あーもういいよ、ありがとう」  彼女は私が仕事で連日大変だった矢先、休みの徹夜明けハイの私に差し入れのレインギフトを送ってくれた。「ほどよくね!」とくれたアイスのお礼を言おうと通話をしていたら、気がついたら、なんだか想いが溢れて泣きながら告白していた。こういうことは、面と向かって言うべきなのに。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!