巫女と幼馴染の恋

2/3
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
ポタポタと夕食のおぼんに涙が落ちる。自分の境遇に何度呪ったか、わたしだって年頃の女の子、思い人と結ばれたい恋心なんて自然な感情だと思う。 ──涙と胸の痛みが止まらない、忘れられない思い出なんて時には呪いになる、いっそのこと、彼のことをなにもかも忘れてしまいたい。じゃないとわたしは彼を求めてしまう──。 その時、部屋になにか紙のようなものがコンコンと窓を叩いていた。わたしは窓を開けて紙を受け取り開いた。 『姫子へ、あなたが悲しい顔をしているのを僕は知っていました。村人の目があるのでどうしようかと、僕は諸々の法術をこっそり会得しました。これはその一つです。』 お世話役は巫女を守るため異能の素質を持っているという言い伝えがあったけど、本当に・・・・ 彼の手紙はそこで切れていた。 ──急に眠くなってきた、泣き疲れたのかもしれない。早いけど寝よう。 いつもは横になってからも布団を抱きしめて夜泣きするんだけど、今日はすんなり寝れた。 「姫子、ごめんね、辛かったね」 声がする、彼の穏やか声。頭を撫でてくれているのか手のひらから体温が伝わってくる。 本当にとろけてしまう幸せな夢、頭も彼の声を聞く耳も溶けてしまう。 「もう大丈夫、起きて姫子」 わたしは身体を起こす、そこはわたしの部屋で隣には彼が座っていた。 彼はわたしに微笑んで、ぎゅっとわたしに抱き付く 「相手の夢に入り込む法術。凄く練習したんだよ」
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!