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最強最悪の兵器開発
「これだ!」
その日、博士は叫んだ。彼はいわゆるマッドサイエンティストというものである。自分の研究を証明するためならば、どれほど人に迷惑がかかろうが、壊れようが、死のうがどうでもいいというイカレた考えの持ち主であった。
そんな彼に付き従う助手は、僕ただ一人。他の助手たちはみんな博士についていけずに逃げていってしまったからだ。
この辺境の、不便な村の研究所に僕が残った理由はただ一つ。
博士は倫理観はイカレていたが、金払いは良かったのである。
ぶっちゃけ僕も僕で、お金が貰えるのであれば何が起きようが人が殺されようがどうでもいいと思っていた。さすがに自分が死ぬのは勘弁だけれど。
「博士、どうしたんです?」
そんな自分達が今やっている研究は、兵器開発。
この世界は今、あっちでもこっちでも戦争をしている。そんな中、大量に人を殺せる画期的な兵器を開発すれば間違いなく儲かることだろう。
どうやら、博士が、そのアイデアを思い付いたということらしいが。
「素晴らしい素材を見つけたのだ。これを実現すれば、国一つ滅ぼすことも夢ではない!」
彼はノートパソコンの画面をこちらに向けてきた。僕は目を細める。確かに、素材としては悪くはない。威力も絶大かもしれない。だが。
「こんなもの、本当に作れるのです?人間の手で?それに……さすがに危険では?」
「なんとかなるとも!私とお前が力を合わせれば!」
僕の危惧をよそに、博士は目を輝かせて言ったのだった。
「まずは、分析から始めよう!なあに、核爆弾やミサイルと比べたら、法律でも規制することも難しい。うまくいけば、我らが世界を手に入れることも不可能ではないぞ!」
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