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三十八世紀の地球
三十八世記。資源の枯渇を克服しようとした人類は、様々な星に分散して暮らすことにした。
火星。月。小惑星アクーア。
こういった星々は、地球と似たような環境に整備され、大きな不自由なく生活できる場所となっていた。
さらに、一般人が簡単に乗れるようになってからはロケットも重要な交通機関の一つとなり、人々は気軽に星間移動を行っていたのであった。
太陽系第三惑星地球。
日本は東京都行政区Gの片隅の、とあるボロアパート——風化しにくい建材が普及してから劣化による「ボロい建物」はあらかた姿を消したのだが、築年数が長いという意味で——の一室には、一組の夫婦が住んでいた。
二人ともまだまだ若く、実際のところ二人は結婚したてだ。
名前を、夫の方はアユム、妻の方はシズカという。
とある日の夜、二十二時。彼らは、机の上にいくつものパンフレットを広げて向かい合っていた。
『火星での育児と仕事』『おすすめ居住地五十選』『リノリノでの暮らし』……
そう、彼らは、新たな居住地、引越し先を探しているのだった。
家族三人で暮らすために。
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