悪魔憑依 悪魔に支配されし者

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悪魔憑依 悪魔に支配されし者

「あああああああああっ!!」彼女は大声で叫んだ。とても苦痛に悶えていた。  これは悪魔をテーマにしたオカルトホラー物語小説です。恐怖を感じさせる表現が含まれる為苦手な方はご注意ください。 第一話 悪魔の恐怖 この出来事が起きる数ヶ月に遡る。「ねえママ、今日の晩御飯は?」そうウキウキしたように話すのはマディラマーシュレット。13歳の少女で母親にいつも甘えている程に甘えん坊、学校帰りのよう。「今日も美味しいメニュにするつもり、そうね……、お肉料理をするわ、何が良い?」母親はマディラに尋ねてみる。マディラは「うーん、何が良いかなあー」と嬉しい悩みを浮かべ、暫くして、「じゃあ、ハンバーグが良い!」マディラは答えた。「分かった、じゃあ今日の晩御飯はハンバーグね、今日も特製ソース作っちゃおうかな」「わーい!、ママの特製ソースすっごく大好き!」マディラはとてもニッコリ笑顔、彼女以外にも実は二人程子供が居るのだが、その二人も母親の手料理は基本的に何でも好きと言うぐらい母親の事が大好きな子供達だ。手を繋いで、二人は帰り道を歩き自宅へ帰宅。玄関のドアを開けると、「ママ!、マディラもお帰りなさい」と玄関先で元気良く二人を出迎えてくれたのは先述した残りの子供二人のうちの一人、フィリーナ、そしてもう一人の子供はリナベラ。そして少し紹介が遅れたが、母親はベネシア・マーシュレット。あとは彼女らの父親で夫、グラデイル。マーシュレット家はこの五人家族構成だ、さてさて、子供達がみんな帰って来て、ベネシアは早速晩御飯の準備をし始める。娘三人はそれぞれ今日出された宿題に取り組む。仲良く話しながら課題に取り組む。その様子を見守りつつ、晩御飯の支度を進める。「ふふっ、相変わらず仲良くしてるわね、微笑ましいわ」そう思わず笑みを溢し、そっとダイニングキッチンから眺める。それから、数十分後マディラ達は課題が終わり、晩御飯の準備が終わるまでのんびりタイム。待っている間、「三人で読書しよう」という事になり、各々家の中に設備してあるフリースペースルームに読む本を取って来て一緒に皆座って読もうと話し、少しばかり長い渡り廊下を渡って本を取りに行っている最中、とある異変が起きた………、それに最初に気付いたのはマディラ。彼女は立ち止まり、耳を澄ませた。「………ねえ、何か喋り声聴こえない?誰も今話してない……よね」そう二人に確認を取る。だが、勿論二人は違うと答えた、何時もなら感じない空気と違和感などを感じている為………、「………聴こえない、けど変な悪寒がする」フィリーナはそう話す。でも、奇妙な現象はこれだけには留まらず、渡り廊下を渡る途中に幾つか部屋があるのだが、そこでまた現象に遭遇する事になった。それというのは…‥、「!!?、きゃあああっ!ド、ドアが一人でに開いて……」マディラは怖くなって少々パニックに陥った。その一方で、リナベラは案外冷静にいる。今現状に起きているのは風が偶然強くてそれでドアが一人でに開いたりしているだけ、そうとも考えられる。「だ、大丈夫だよ、多分気のせいだよ!」マディラは気のせいだと思い、恐怖を忘れようとする…、マディラは怖さに耐えられず、ビクビク震えた。この家に住んでいて、長い年月が経っているものの、今日のような現象に遭遇する事などなかった。しかもこの家を購入する際も、事故物件など言われなかったが……、「気のせい…なの?」とマディラは怯えて涙目になっている、それに加えて怖がりなタイプなのもあって尚更。とりあえず本を持って、さっきの部屋に戻って本を読む‥が、その前にさっきまでの怪奇現象の事を母親に話し、相談してみる。「ママ………」マディラはビクビク震え、その様子を見て母親は何があったのかと説明を求めた。それで、リナベラとフィリーナは説明出来そうもないマディラの代わりに何があったのかを…戻ってくるその間の事を話した。「そう………、そんな事があったのね、今までそんな事なかったけど……とりあえず話は分かった、何か危険な事が起きるかもしない、また何か異変を感じ取ったり、現象が起きたりしたら遠慮なく話すのよ」母親は娘三人にそう言った。三人は未知の恐怖に襲われて少し戸惑う。ひとまず夕食の時間になった為、皆で夕食を食べる。丁度父親のグラデイルも帰って来て、これで家族全員が揃った。その後夕食の最中にベネシアから夫に夕食前に娘達から聞いた事を話し、父親からも同じ意見が出た。暫くはとりあえず様子見でいて、今以上に現象が頻発してきたら超常現象研究家やその専門家に訪問してもらい、相談する事に。突然と訪れた事態にどんな思いを抱くのが正解なのか分からない。突然起きたあの現象は一体なのか…。夕食を食べ終わり、娘達は次に入浴を順番に入って行くが、そこでも妙なモノを感じる事になる。「…………、何?、誰か居るの」リナベラは後ろを振り向き、確認するもそこには誰もいない。恐怖に敏感なマディラ以外も背筋が凍る体験をする事になるとは…、順番に入浴をし、お風呂から上がり三人共口を揃えて、話した事。「やっぱり今日はなんか変」と、その意見が一致し、間違いなく、何かが居る…そう思い始める。入浴を終えて、あっという間に就寝時間に、姉妹三人は仲良く同じ部屋で眠る。でも、今日は何だか落ち着かない…あの現象の遭遇から、何かがおかしい。「ねえ、今日夕方からおかしい…よね、それもあって眠れない……」マディラはポツリとそうぼやいた。他二人も後々になって恐怖を肌に少しずつ実感したようだ。そうして、就寝に入る。脅威の声[悪魔の囁き]はゆっくりと一人の少女の元へと、歩みよって行くのだった。 次の日になり、皆起床しそれぞれ寝巻きから着替え、朝食を家族皆揃って取る。その際こんな話題になって、「そういえば、お前達昨夜はしっかり眠れたか?」と三人は父親にそう尋ねられ、三人は何とか…そんな風に答えた。「そっか、なら良いけどな」とりあえずは安心した表情を娘達に見せた父親。しかし、安堵も束の間になる事をまだこの一家は知りもしないだろう。朝食を終え、父親は仕事に行き母親は娘達を学校に送る。その為、その間家に残っているのはベネシアのみになる。「さて、じゃあまずは掃除でもしようかしら、それから……」一人で家事をこなしていかなければならない、だからある程度一日のスケジュールを頭で考えつつ、行動する。でも、今は少し違う。突如娘達を襲った怪奇現象の事もふと考えてしまう。それもあって彼女も不安を抱えてしまう事に……、この大きな一軒家には彼女が夫と結婚して購入した家で、住み始めてもう随分と経ってはいる。とはいえ、ここは訳あり物件という情報も聞いた事がない為、昨夜の出来事は不可思議でならない。「一体……何なの、………今考えても仕方ないか」ベネシアは気持ちを切り替えて他の家事を進め、そんな事をしていたら、もうお昼時に。時間が経つのは早いものだ、娘達や夫が帰宅するまでの時間は彼女一人、だからそこまでメニューも拘る事はせず、ただちょっとだけ贅沢なモノを作るのが彼女が一人の時間を過ごす時のやり方だ。「…………何だか、変な気配を感じる……気のせい……なのかしら」と気のせいだと思って、思い過ごそうとしても、何処かで昨夜の出来事がどうしても気にかかる。母親は現象を目撃していない、だから見間違いなんじゃないか、そうとも思ってしまう。でも、マディラのあの怯えようを考えると嘘という可能性も低くなる。大人より子供の方が霊や悪魔など見えない存在に気付くと良く耳にするが、その場合もありそうだ。そうして時間が経ち、気づけばもう娘達が帰ってくる時間帯になっていた。「早い、もうこんな時間…」ベネシアが言っていると、「ママ、ただいまー!」娘三人はそう言って玄関から入ってきて、母親に挨拶をして、早速課題に取り掛かる。「今から晩御飯の支度をするから、課題が終わったらゆっくりして待っててね」「うん!ありがとう、ママ!」マディラはニコっとした表情で母親に感謝を告げる。しかし、またこの時マディラにとある異変が生じた。「誰かが、立ってる…私の事、見てる」と窓辺を見ながらそうぼやいた。その言葉を聞いた他二人の娘含め、三人は彼女が見つめる先を見たがそこには誰の姿もなかった。「マディラきっと気のせいだよ、ほら誰もいない、見間違いだよ」マディラが促すも、彼女の言葉は揺るがなかった、「…………ほんとに見えたの、それに声も聞こえる」彼女はそう話した。彼女の目を見るに話してる事は嘘じゃないのは分かってはいても、現象に遭遇して居るのが彼女だけ。そうして、とにかく課題の続きをやる、マディラは何故かボッーとしている様子で、「ねえ、どうしたの?昨日から今日もずっと変だよ」フィリーナとリナベラは一番下の妹であるマディラを心配する。「………………」彼女は何を思ったのか、突然下を向き、沈黙した。娘の妙な変わり様に上手く言葉が出ない母親、だがこれはまだ序章に過ぎなかった事に彼女達は思い知らされる。 そして、それは突然訪れる。彼女が益々おかしくなってき始めたのだ、しかもおかしくなるのは決まって夜だ。事が大きく動いたのは約数週間後の事、とある日の夜。いつものように、寝ていた時だった……この日何時もより強い視線を感じ、マディラは寝られずにいた。どうしたら良いか、彼女はキョロキョロと視線を回して、視線の正体を探そうとする。でも、それは最悪な事にその存在は、彼女の真後ろに接近していた。それはに彼女は気づけなかった。目の見えぬ存在故に知らない、その存在は………遂にマディラの背後からスッと消えるように入り込んだ。この日から、マディラの様子は別人のように変貌するようになり……、現象も段々と増していく……、またとある日、ふと母親はマディラの首筋に違和感を覚え、注目した。見てみると何やら青黒い痣の痕のようなモノがあった為、気になって本人に尋ねてみた。「…………え」マディラは痣に覚えがない、そこで、姿見のあるすぐ側の部屋に行って母親と一緒に確認しに向かう。部屋に向かう間、マディラは何か落ち着かない様子だ。さっそくある影響が及び始めているのだろうか、部屋に辿り着きマディラは首筋にある痣を確認した。かなり、痣が出始めたとは思えない程に濃く、くっきりと痣が浮かび上がっていた。そこで、もう一度この痣について心当たりがないかを娘に質問したところ、マディラ…当の本人は全く心当たりがないと答えた。「………ほんとにこの痣知らない、出来たの今初めて知った」彼女はそう明かした。学校で転んだりも怪我したりした記憶は一切ないと話した。じゃあ、何故突然このような痣が出来たのか皆目検討もつかない。その後、マディラは一人部屋に篭り、此処から更に奇行や怪奇現象がより多発して、マディラ自身に襲いかかる変貌も加速していってしまう。時は進み、数ヶ月後の事だった。「………痣、増えてる、何で」マディラは広がってしまった痣の具合を確かめる。マディラはまるで別人のように自分の意思と反して動き、精神的にも変わっていく。学校にいる時でさえも……、「マディラ、最近ずっとなんかおかしくない?大丈夫?」フィリーナ達に頻繁に心配される。「………………………」口数も減って姉妹間での会話自体減少して、彼女は度々見えぬ誰かと会話をしており、何処か不気味で知らない彼女の姿にフィリーナとリナベラは違和感を持ち続ける事しか出来なかった。家に帰っても彼女の様子はおかしいまま…、そうして遂には恐怖に拍車をかける事態が起こる。それは夜中、彼女達は眠りにつこうとしていたその瞬間の事、突然ドアが開いていた。この現象はまあ、風のせいかそう思い気にも留めてなかった。だが、次は、「きゃああああ!ぬいぐるみが浮いてる」とマディラは取り乱した。それだけに終わらず、タンス、椅子…小物、部屋に置いているあらゆるものが突然浮遊した。しかも小物の中には割れ物も含まれるので、もしそれが彼女達に直撃していたら、そんな事を思うと恐ろしくて仕方がない。「いやっ!! 怖い……」マディラは何かの気配を感じ取り、それに対しても怯え震える。恐怖に耐えられず、怯えるマディラに寄り添うリナベラ。一方で、突然の緊急事態にどうしたらいいのかわからない娘達は母親に助けを求める事にした。直ぐにベネシアは駆けつけて、恐怖に極限状態へ陥ってパニックになってる娘達は先ほど起きた事全てを話した。話してる間にも、怪奇現象は止まない、最初に現象が起き始めてから段々とエスカレートしているのが、身に染みる程かなり激化。最初こそ気にしていなかったが、現在はほぼ日常茶飯事にラップ音やポルターガイスト現象が悪化して日常に支障が出始め、しかしベネシアは霊や悪魔などあまり信じていない。夫に相談すると、「俺はまだ現象に気付けてないから、どうにも言えないけど、専門家の方に話を聞いてもらうのも一つの手だろう、それと……此処の家の事について此処を紹介してもらった大家にも聞いてみよう」とグラデイルはそう提案した。現に大きな被害でないにしても、マディラにある原因不明の痣の事もある。「ええ、でも専門家って?知り合いでもいるの」しかし、専門家と言っても一体どのような専門家に相談を依頼すれば良いのか、今までこんな事態になったのもない為に今回が初めて……と思いきや後にこの家の隠された真実を知ることに。「これ以上放置したら娘達が益々危険に晒されてしまうかもしれない、なるべく早く相談しよう」グラデイルはとある本を彼女に渡した。「これって……、貴方が何度も読み返してる本よね、何でこの本を」ベネシアは夫に質問。この本は彼がかなり愛読している本で、どうやらこ本の著者がさっき話していた専門家だという。ベネシアは本の説明を見つつ、「超常現象研究家……、これに今私達が直面してる現象に何か関係が…?」「超常現象の可能性が高い、他人が勝手に侵入して物を動かしたとしたら普通気付く、けど物が浮遊するのは人間だと不可能だろ」と何だかやけに冷静に話していることに疑問を抱いた妻は夫に質問を投げ掛ける。「貴方、怖くないの?こんなに現象が頻発してるのに」と。その問いに、「今と似てる状況に苦しんでた人達の講演会に参加した事があって、そこから悪魔とか幽霊は本当にいるんだろう、そう考えるようになったよ、それに友人の家族が悪魔に取り憑かれた事が随分と昔の話ではあるけどね、まあ身近な存在がそんな風になったら嫌でも忘れない、だからあまり悪魔や霊に恐れないだけだ、俺だって怖くないわけじゃない」彼はそう答えた。とにかく、これ以上現象悪化と娘達に実害が拡大する前にそれを阻止しなければならない、すると夫婦がそう話していた時娘達が来て、その中でマディラは一際目が窶れておりとても具合が悪そうなのが伺える。娘達に事情を聞き、怪奇現象が起き始めてからの経過を質問した、「ママ、ずっと近くで視線とか、影が……見えるの、声も頭の近くで囁かれてるような……」マディラは怯えながら両親にそう伝えた。彼女を取り巻く怪奇現象、既にマディラに何かが憑依しているのはこれで、明確的になり手遅れの事態になってしまう前に対処して貰う必要かありそうだ。「私達も声聞こえたの………物音も凄く大きくて、ママ……怖いよ」リナベラも怖がって母親に駆け寄る。これはもう只事ではないと悟り、一刻も早く専門家に会いに行き、訪問を依頼しなきゃ。そう思い、近日中には直接面会する予定を立てていくつもりだ。「会いに行こうとするなら、何処に向かえばその専門家の人達に会える?調査を依頼しにいくから教えて欲しいの」ベネシアはグラデイルに尋ねる。「彼らなら毎回色んな大学で超常現象や悪魔について講演会を開いてるから、その日の公演場所を聞けば会えると思う、会いに行くなら俺も同行するよ」グラデイルは付き添いすると言い、それを聞いたベネシアは少し安心したようだ。調査して貰えば、怪奇現象の大元が解明され、執拗に怯えずに済む。娘達は話を聞いて、「?、ねえ家に今度誰か来るの?」リナベラは両親に尋ねた。それに少しだけ言うか迷いながらも、この家に住む家族皆の為にも、説明する。そうして、「じゃあ、その人達がこの家を調べてくれるんだね、原因知りたいし、それにマディラの事も……何であんなに変わっちゃったかも知りたいよ」フィリーナは話す。怪奇現象だけでも随分悩まされているのに、それに加えて大切な妹がおかしくなり、変わり果てて居る始末、不安が消えず常に蔓延るのも当然だ。「ええ、だからその時は一緒に話を聞きましょう」「うん」娘達も専門家の訪問に賛成の為、後は肝心の専門家に面会して、事情を聞いて貰って家の調査依頼を頼むだけ。とはいえ、夫は仕事の日が多い。同行してもらってその上講演会の日についても分かってないと会いに行けない、未だ少しだけ怪奇現象に苦しめられる日々を送る事になるだろう。とりあえずの話を終え、夫と未だ少し話していたベネシア。彼女は部屋に見送った娘達の事を考えていた、ほんの少しの希望となるであろう専門家に一筋の光を感じる。「早くは叶わないだろうけど、またラップ音とか怪奇現象が増えてしまうんじゃないかって思うと、不安が募るわ」ベネシアはそう不安の声を上げると、夫は彼女をそっとハグで包み込み、安心感を彼女に与えた。そして、彼は愛する妻や娘達を思い、こう言い告げた。「大丈夫、きっと、必ず救われるさ、それに危機が降りかかっても俺が皆を守るよ」と。彼の言葉にいつも支えられている。だからなのかもしれない、彼女が悪魔や霊に対して恐怖心で恐れ慄かない理由は。守ってくれる……そんな存在が何時も傍にいるから…。だが、着実に恐怖の足音は大きくなる、そうして脅威は………もうすぐ近くに居る。更にポルターガイスト現象も最早歯止めが効かなくなって居るほどに常に頻発して、夜さえ安眠に浸れなる事態にまで状況は危ぶまれている、かなり危険な環境にある為本来なら家の詳細を知る手段の大家さんに連絡している暇や余裕が無い。最も恐ろしい事もまた娘達を………、それは夜中、彼女達が眠りについた時、それは起こった。彼女達は姉妹皆で仲良く寝ていた、一番端に寝ていマディラに突然異変が起こった。「はあはあはあはあっ、はあはあ……」いきなり過呼吸になり、呼吸が荒ぶっている。かと思えば、「やめて!、嫌!!出てこないで!、やめて……」と誰かと対話していて、何かに抵抗しようとしている。その声に気付き、リナベラは、「マディラどうしたの?大丈夫?誰と話してるの」彼女に問いかけた。しかし、彼女の耳にはこの言葉は届かなかった。『お前を生贄にしてやる……この家を呪った奴のように』その声の正体はマディラに接近して、恐ろしい形相で睨みつけた。「きゃああああああああっ」大声で悲鳴を上げた。その声に思わず、フィリーナも飛び起きて、「何!?、何があったの!!?」と左隣の二人に聞いた。リナベラはたった今の事を話した、「マディラ、大丈夫?」シャルアもリナベラ同様の質問を彼女に問いかけた。すると、彼女は何故か疲れたように前方に項垂れる。かなりぐったりしてるようで、此処で畳み掛けて激しくポルターガイスト現象が巻き起こり、彼女達が寝ているベットが大きく揺れ動いたのだ、ドアも激しく開閉を繰り返し……怪奇現象は鳴り止まない。更に、「きゃああああああああ!!!!」マディラが突然不自然な浮遊をした。ポルターガイスト現象で物が浮遊しているのはこの数ヶ月間目撃していたが、人が不自然な浮遊をするのを目撃してしまうのはこの日の深夜が初めての事態。「マディラ!!!」空中浮遊にされて彼女に声をかける。と、彼女はバンっと壁に吹き飛ばされたようにあたり、バタリっと倒れるも起き上がった。「マディラ、大丈夫!!!?」二人は近くに寄り添う。マディラは明らかにこれまでとは違う、そんな顔色になっている、「大丈夫………、早く寝よう、ママに心配されちゃう」マディラはまるで何事も無かったかのようにもう一度眠りにつく為ベットに入る。しかし、それから数分後また悪夢に魘され、過呼吸になっては飛び起きる。今夜はそれの繰り返しで、この日は中々寝付けず、ただ不安が消えず……マディラを誘う声がそっと近寄り、「マディラ……マディラ、こっちを見ろ………!!!」謎の声は彼女を脅す。悍ましく禍々しいその声に彼女は再度大声の悲鳴をあげた。度々視えてしまう恐ろしい何かの姿に恐怖が限界を迎え、パニック状態に陥った。マディラがあげる悲鳴で二人はマディラに寄り添い、また怖くなったの?と優しく尋ねた。マディラはパニック状態で怯えながらも、自分の身に起きた事を二人に話し、二人はマディラを落ち着かせた。でも、本当の恐怖はまだまだこれから……此処までの度重なる怪奇現象はほんの序章に過ぎない。この一家を震撼させてしまう恐ろしい事態が待ち受けていようとは………。怪奇現象が頻発して本格的に一家が恐怖の絶頂に達し、専門家に面会しようと計画を立てていた時、とある日仲の良い隣人から娘の事を聞かれ、話したら良かったら会わせて欲しいと言われた為急遽彼女は来客を家へ招く事になった。数時間後、その隣人はきた。名はガネット・ファリーロ。彼女は此処にマーシュレット一家が引っ越してくる前から周辺に住んでおり、ベネシアがマディラ達を妊娠していた時からの知り合いの仲。しかもベネシアが出産して、その出産祝いまで持ってきてくれた程にかなり親切心の深い人物だ、そんな彼女はベネシアから今現在悩まされているポルターガイスト現象やある日を境に様子が変貌したマディラの事について度々話を聞いていた。それで実際にそれを目で確かめてみたいと言い出して、それで来る事になってた。「早速で悪いんだけど、あれから現象はどうなの?やっぱり続いてる感じ?」ガネットはベネシアに尋ねる。彼女はすぐさま頷き、今もなお怪奇現象に参ってる事を告げた、それもその筈最初に怪奇現象が発覚したのを皮切りに、全く現象は止まず…深夜に差し掛かると必ずポルターガイスト現象が発生してしまう為に手がつけられない。「住み始めた頃は何も無かったのに一体何がきっかけでこうなってるのか………、マディラの様子もこの頃一段と変になってるような気がして、夜になると何時も悪夢に魘されてるの」そうベネシアは一番被害を受けている娘マディラについて明かした。と、その言葉を受けて、ガネットは彼女を元気付けるように、「そう……、周りの目も冷たくなってるんでしょ?、辛いならうちに来てもいいのに…そういうのって周りが理解してくれないから、現象の被害に遇ってる側は辛いわよね、大丈夫、私はベネシアさんの味方だから」とガネットは心から親身になって一人の友人として、寄り添う。「ありがとう……ガネット、感謝するわ、ずっと立ち話もアレだしマディラがいる部屋に案内するね…あの子の現状を実際に見てもらいたから」ベネシアはそう言ってマディラが篭っている部屋へ彼女を案内する訳だが、そこまでの移動の最中で、ふとガネットは家中をチラチラ見ていて、何やらやけに部屋中が壊れた物で散乱している事が目に止まりベネシアに、「そういえば……何でこんなに物が散乱してるの?誰かに荒らされた?」ガネットはそう伝えた、当然初めて眼にする光景にこう言いたくなるのも無理はない。近所からはすっかりこの数ヶ月間、冷たい目で見られ、更には幽霊屋敷など笑いの的にされている、だからふざけて何らかの荒らしをされていてもおかしくない。その疑いが出る事も、ベネシア一家は薄々思っていた。けど、これは……今ベネシア一家が苦しめられている怪奇現象は幻ではなく、紛れもない現実なのだ。その思いに踠きながら、「荒らされたんじゃないの、数ヶ月前から続いてる現象で……最初のうちは片付けたけど、現象がエスカレートして掃除が追いつかなくて…」「そう………、でもこんなに現象が酷いなら早いうちに専門の人に相談した方が良いんじゃない…?、言いにくんだろうけど、もっと酷くなる前に今の状況を話して…私の知り合いに聖職者の人が居るから教えようか?」とやはり親切心に満ちている彼女。「ううん、一応私達の方でも専門家の方に時間がある時にでも相談しに行く予定を立ててる途中だから大丈夫、心配してくれて嬉しいわ」そうベネシアは感謝の言葉を言い、「なら良いんだけどさ」ガネットはほっとした様子を伺わせる。そんなこんな話しているうちにマディラが篭っている場所へ、ドアには十字架の壁飾りが飾ってある……その事から妙な違和感を感じた、しかし、この十字架の飾り物はアメリカでは良く魔除けとして使用している、なのでこの十字架は悪魔へ対抗する為物ではないのかもしれない。こう思いながらも、ガネットは少々の不安に駆られつつマーシュレット家唯一、悪魔、若しくは霊に憑依されている可能性があるマディラの元へ立ち会う時が……ドアを開き、面会する。「マディラ、入るわよ」そっと部屋へ入ると、マディラはベッドの上で蹲って少し漏れ出る声が明らかに苦しそうな声が溢れた。「はあ………はあ、はあはあ」と喘息のように呼吸が荒ぶっている。具合が悪いのが一目瞭然に表れている、彼女に、ベネシアはそっとマディラの傍について、一言娘に「大丈夫?」とそう尋ねた。ガネットはあまりに具合が悪そうなマディラを気にかけ、「マディラちゃん、具合悪いの?」と優しく話しかけた。額にそっと触れると、高熱とはっきり判断できるくらいに暑かった。母親であるベネシアに事情を説明してもらうと、今から数日後に遡る……、それはポルターガイスト現象に悩まされていて主にマディラが夜中に夜な夜な夜歩きをするという奇行をし始めて数日が経過した時、とある日の事でその日は雨が降っており、天気があまり良く無かった。朝起きても、眠れた気がせずにいたマディラ、変わらず身体がボッーとしてこの日は更に倦怠感も酷く、顔色が悪く…すぐさまベネシア達はマディラの体調不良に気付いて、熱を測ったところ、「………38,7°……かなりの高熱ね、風邪かしら、とりあえず高熱が下がるまでは学校はお休みなさい、後で連絡しておくから」とベネシアはマディラにそう伝えた。マディラはきつい身体で母親に抱き寄り、「ありがとう、ママ」マディラは笑う事なく、重い瞼を堪えながら母親のお礼の代わりにそっとハグをした。
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