五流小説家の引っ越し

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 伸び悩む閲覧数。  読者からの反応、無し。  どうやら途中で離脱している読者が大半らしい。  それでも最後まで読んでくれる稀有な読者がいた。 「お、コメントが来た」  続けざまに数件コメント通知が入ってきた。  私はドキドキしながらコメントを開封する。 『俺様の彼氏、親の金と親からもらった顔以外の魅力って何?』 『こんな男が寄ってきたらキモイ』 『主人公マジック効かせすぎ』 『弟妹多くて、高校生なのに家計を支えて家事もこなすって設定、平成初期?』  予想外の辛辣なコメントの数々。  引っ越し先(このサイト)が手厳しいのか、私の作品が駄作だったのか…。  簡単に「アオハル作家」は名乗れそうにないな、と痛感した。  一体いつになったら私は「五流小説家」を脱出できるのやら。  コメントを読んで一気に「青春」熱が冷めてしまい、私はそっとその新境地から離れた。  そして大きくため息をついた後「とにかく、書きまくるか」と、新しいミステリーのプロットを検討し始めた。 (おしまい。筆者の葉月は「エブの中の蛙」です)
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