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運転していたら、突然目の前を何かが横切った。
急ブレーキを踏んで周りを見回したが何もいない。
気のせいだったのか。そう思って車を走らせたら、一分も経たないうちに、道端に何か落ちているのを見つけた。
落ちている…という言い方は妥当じゃないな。
じろじろ見たりはしなかったけれどあれは鳩だ。轢かれて死んだ鳩が道端に寄せられている。
かわいそう。後は、嫌なものを見た。それたけ気持ちに残して先へ進んだ…のだが。
また同じように、車の少し前を何かが通りかかった。
今度ははっきりと見えた猫の姿。もしや市と思い、しばらく車を走らせていると、道端に、やはり轢かれて死んだ猫が寄せられていた。
二度も続けて轢かれた死体を見るなんて。いやそれよりも気になるのは、その前に何かが車の前をよぎることだ。
この先に死体があることを暗示するような幻影。
でもさすがに、もうこれ以上はそんなものを見たりしないだろう。
そう思っていた矢先に、何かが車の前を横切った。
人間!? …じゃない、でも半分は人間のような…人と獣が混ざり合ったような姿の何か。それが俺の車の前を横切り、消える。
この先進んだ道端には、いったい何の死体が横たわっているのだろう。
用事があるから引き返す訳にはいかないけれど、可能な限り『それ』を目にしないよう走ろう。
道端に…完
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