意識しちゃう

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 今は十時少し前と朝にしてもお昼にしても微妙な時間という事もあって、ひとまず軽く食べてお昼にまた何か食べようという話に纏まった私たちは近くのファストフード店へ入った。  モーニングメニューを頼んで席に着き、他愛の無い話をしながらハンバーガーをたいらげた。 「なぁ真柴」 「んー?」 「例えばさ、見た目はどんな男が良いんだよ? 街中にこれだけ男が居るんだ、ああいうのがいいとかねぇのかよ?」 「えー……? んー……」  突然そんな事を問い掛けられても困るというか、何というか。  鳴海が指差す窓の外に視線を移し、外を歩く男の人を一人一人見ては見るけど、 「んー、急に言われてもなぁ」 「アイツは?」 「え? あ、あの赤いシャツの人? うーん、何かチャラそう……」 「じゃああっちの青いTシャツの奴は?」 「うーん、ちょっと性格キツそう……」 「じゃああのグレーのスーツの奴は?」 「あー、髪型が嫌かも」  鳴海が通る男の人を一人一人指差して印象を聞いてくるので簡単に感想を伝えてみるけど、求めているものと違うのか不満そうな表情をする。 「じゃあ、髪型は?」 「髪型? そうだなぁ、ロン毛じゃなければいいかな?」 「じゃあ体型は?」 「うーん、マッチョは嫌かも……あ、でも太ってる人も嫌だな……」  今度は部分的なタイプを聞かれたから考えながら答えていく。 「じゃあ顔は?」 「顔?」 「ほら、あるじゃん、塩顔とか何か調味料に例えるやつ」 「ああ、あるね。けど私、そういうのイマイチよく分からないんだよね。まあ強いて言えば、色黒過ぎるのも色白過ぎるのも嫌かな? 目つき悪い人も嫌かも? 要は……普通の人? がいいかも」 「ふーん」  鳴海から聞いたくせに気のない返事が返ってきた。 「何よ、その返事。鳴海から聞いたくせに」 「だって聞いても大して参考にならねー返しばっかりだからよー」 「どういう答えを期待してるのよ?」 「もっとこう、具体的なヤツだよ。ま、いいや」  一体どんな答えを求めていたのか謎が残るものの、これ以上タイプについて問われても困るので深く突っ込まない事にした。
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