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「惚けるな!校庭の花壇に咲いてた花の事だ!」
「ああ、あの目障りな花のことか」
「目障りだと…?」
鈴木や山村の思いがこもった花を目障りのひと言で片付けられたら、堪ったもんじゃねー。
「あんな花、近いうちに踏み付けてやろうと思っていたんだ。それを誰だか知らんが持ち去ってくれた。せいせいしたなあ!」
ゲラゲラと下品な声がこだまする職員室。
俺は春日部を掴んでいねー方の手を拳に変える。
「殴るのか?殴りたかったら殴っても良いんだぞ?ゴミ掃除みたいにお前も晴れて、この学園を退学だあ!」
「…ざけんじゃねー!!」
俺は拳を振り翳した。
と、その時。
「待て!千夜!挑発に乗ってはいけない!」
出入り口の方から伊藤先生の声が聞こえてきたと思った次の瞬間、俺は信じられねー力で羽交い締めにされた。
その拍子に胸ぐらを掴んでいた春日部を離しちまう。
離された春日部は春日部で支えが無くなったからかドシンッ!と勢いよく椅子に座る形になる。
激しく咳込む春日部の背中を他の教師が駆け寄り摩っている。
が、俺にとっちゃあ、そんな事はどうでもいい。
「離せえ!離してくれっ!こいつが花を盗んだに決まってる!!」
俺はズルズル春日部から距離を取られながらも必死に暴れて何とか振り解こうとした。
が、後ろにいる奴はビクともしねー。
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