笑顔の種

1/12
11人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ

笑顔の種

心誠学園高等学校、男子校。 退学者が後を絶たない問題校。 1部を除いた教師達は、学園の悪評を恐れるあまり、自分達と学園の体裁を守ろうとして、校則違反者を厳しく指導していた。 その筆頭教師が春日部(かすかべ)という野郎。 春日部達のいきすぎた指導に、生徒達も暗くピリピリしていた。 だが、そこに笑顔という小さな奇跡が。 友情の絆を、より深く結び付ける、きっかけとなる出来事が。 静かに始まろうとしていた。 「千夜(せんや)あ!何だ?!その格好は!昨日も直してくる様に言っただろう!」 俺…千夜保(せんや たもつ)は、校門前の服装チェックを担当してた春日部の怒声を浴びた。 だが、そんなモンどこ吹く風だ。 制服位、好きな様にアレンジさせろよ。 「良いんだぜ?気に入らねーなら、停学でも退学でもさせりゃー。そしたら、この学園は益々、悪評が高くなるだろうよ」 俺は春日部に言ってやった。 周りの生徒達はビクビクした様子で、一部始終を見ている。 皆、春日部達教師にビビり過ぎだと思うがな。 春日部が校則違反にるっせーのは、これ以上、自分の職場の体裁を悪くさせたくねーからだ。 当然、簡単には罰も与えられねー駄目教師。 それが春日部だった。 「ぐぬぬぬ…高校生の分際で煙草臭い心誠学園のガンが!」
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!