ヒト(切)リ・カラオケ

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 わたしはカラオケが大好き。 特にひとりカラオケ!今はひとりカラオケ専門店とかあるけど、わたしはフツーのカラオケ店が好きだな。広い部屋を独り占めして思いっきり歌う!気持ちがいい!いつも行っているのはカラオケチェーン店の「手まきねこ」かな、だってフードが美味い。そこ大事。 今日も仕事終わりに駅前の店に行く。店員さんも顔馴染み。親しく話はしないけど、受付してエレベーターで2階に行く。 204号 いつもの部屋。 さて、まずはドリンク、やっぱりいつもの「角ハイボール濃いめ」だな、それからフードは「ポテトフライ大盛り」「コリコリナンコツ揚げ」「ささみチーズかつ」このセット。サイコー! さて歌うか!今は昭和歌謡にゾッコン! まずはいつもの明菜ちゃんの「DESIRE -情熱-」だな! 次は聖子ちゃんの「赤いスイートピー」 次はキョンキョンの「木枯しに抱かれて」 わたしは4杯目の「角ハイボール濃いめ」頼んで、ラストのシメの曲 髙橋真梨子の「for you…」を歌い始めた。 あたしが生まれるずっとずっと前の曲なのにスッと来るんだよね。 歌っていると切ないけど、歌詞がしっくり来る!歌っていて気持ちがいい! 「あれっ!?」 カラオケの画面が急に変わった。 「んっ!?」 カラオケの画面が急にエレベーターの中の映像になった。若い女の子の後ろ姿が見える。 映像は段々とその子に近づいて行く。 「んっ!?」 画面の右端に何か見える。 「アッ!!!」 刃物! 映像は女の子の背中にどんどん近づき、 一瞬、ドンっと彼女にぶつかり画面が真っ黒になった。 画面は引いた。 女の子が、倒れて背中から血がたくさん出ている! ピクリとも動かない。 死んだの? てか、何、この映像。 エレベーターが開き、映像はぐんぐん進む。 「あれっ!?」 映像は廊下を映している。 「ここ!?」 映像は廊下をぐんぐん進む。 「見たことあるッ!?」 映像は突然止まる。 「…ッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 映像は「204号」の部屋番号を映した。 「…ッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 ガチャっとドアを開ける音がした。 わたしは振り向いた。 人影があった。 廊下の照明で逆光になり真っ黒な人影。 手には血の付いた刃物が……、 ちょうど 髙橋真梨子の「for you…」の歌詞のサビ、 「あなたが欲しい、あなたが欲しい〜」 と流れているところだった。
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