心の声を聞かせて

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幼い頃から歌のレッスンに明け暮れていた僕は、同級生とのコミュニケーションの取り方を知らなかった。 部活動も入らず、授業が終わればまっすぐ家に帰っていたので、知り合いもいない。 クラスメイトも僕の名前を知ってはいたが、ただそれだけ。 僕もあまり進んで話しかけるタイプではなかったので、クラスメイトからは『関わりにくい奴』と思われていたのだろう。 特にいじめられたりしたわけではなかったが、自分で殻に閉じこもっているクラスメイトに進んで声をかけるもの好きはおらず……。 僕は友達と呼べる存在もないまま、中学3年を迎えた。 小学生の頃から友達のいなかった僕。 中学生になっても顔見知りなどおらず、自分の内向的な性格のせいで新たに友達が出来るはずもなく……。 1・2年生の時は、学校とはただ『通うだけ、授業を聞きに行くだけ』の施設だと思っていた。 運動会も文化祭も、ずっと裏方・目立たない役割だった僕。 そんな僕を変えてくれたのは、一人の転校生の存在だった。
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