私はアイドル

1/15
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
駅前にあるクレープを販売するワゴン車は、平日の夕方にも関わらず行列をなしていた。豊富な味や手頃な価格は勿論、若者受けを狙った「SNS 映え」するデコレーションが人気の理由である。 「ウチら席取っとくから、ミーコ代わりに並ん どいてくれる?」 「うん、良いよ。」 断れない性格の私は、友人の命令に首を縦に 振った。助かる、有難うと口々に礼を述べ席に 着いたメンバーは、私を除いて四人。 両手に二つずつ持つとして、あの距離まで一人で 運べるだろうか。 自分の番を待つ間にも、最後尾にはSNSの評判や 口コミを聞き付けた人が増えていく。 _程無くして注文の品を受け取った私は、両手に 二つずつ持ったクレープを落とさぬよう慎重に 持ち運んだ。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!