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俺は四月から新しい会社で働くことになった。
俺は荷物を纏めて会社の近くに引っ越した。
仕事が終わって家に帰ると、奇妙な出来事があった。
俺が住むマンションの一室を大勢の人が囲んでいた。
俺は人々に声をかけた。
「マンションで何かあったのですか?」
一人の男が怪訝な表情で応えた。
「302号室の空き部屋に引っ越してきた者がいるそうなんだ」
「302号室は俺の部屋です。どうしたのですか?」
大勢の人がその言葉に驚いていた。男が眼に涙を浮かべて声を出した。
「君はまだ若い。死ぬなんてやめなさい!」
俺は男の突然の言葉にびっくりした。後ろに控えている人達も頷いていた。
「えっと、どういうことですか?」
「知らないなら教えてやろう。このマンションの302号室に引っ越してきた人間は、一ヶ月以内に必ず首を括って死んでいるんだ。もう何十人も死んでいる。君もそうなるに違いない」
俺はそれを聞いて不動産屋に騙されたと思った。だから家賃が格段に安かったのか。
「ご忠告ありがとうございます。この部屋に住むのはやめて、また引っ越します」
「それがいい。命は大事にするものだ」
俺は別の不動産屋に頼んで、違う部屋に引っ越すことにした。
しかし俺は一ケ月も経たない内に死の淵を彷徨うことになった。
一度、その部屋に引っ越したものは悪霊から逃げられないのだろうか。
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