エイプリルフール

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エイプリルフール

「あーあ、今日も全然ついていけなかった。お金出してもらって塾行ったって、私がこんなじゃなあ。いい高校、いい大学、一流企業。道のりはトホホなくらい遠いよ~」 「あはは、私も似たようなもんだよ。ついていくのがやっと」  茉奈(まな)がボヤいて私が合わせる。  いつものことだ。 「またまた~。学年トップの芹那(せりな)がわかんない訳ないじゃん」 「学校で教えてもらうところは違うし、変わらないよ」 「いいなあ芹那は。勉強ができてスポーツ万能、顔は可愛いし男子にはモッテモテで、しかも家はお金持ち!」 「あはは、全部ハズレ」 「何がよ!」  笑いながらぶつけてくる肩を、私も押し返す。  茉奈が(うらや)ましがって私が合わせる。  いつものことだ。 「今日はエイプリルフールでしょ?」 「うん」 「私がさ、『芹那だよ!』って言って芹那の家に押しかけたら、どうなるかな? 豪華なディナーとか食べさせてもらえたりして!」 「やってみる? 好きなの出してくれると思う」 「マジで?!」   茉奈がウチのことを話題にして私が合わせる。  いつものことだ。  もう、飽きた。  
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