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11ー6 夢幻
謎は、解明された。
まさか、原因が俺に関わっていたことだったとはな。
俺は、正直、今の女尊男卑の世界も嫌いではない。
だが、これからは、男も権利を求めていくべきだとも思っている。
エドワード兄のように、な。
エドワード兄は、結婚式のとき、ドレスを着たラード侯爵になんと自分からキスをした。
この世界では、普通、女からキスするものだ。
でも。
俺は、そんなエドワード兄が誇らしかった。
相手を愛する気持ちに男も女もない。
これからは、男も昔のように太陽になるように俺も頑張っていこうと思っている。
エドワード兄の婚儀は、二人らしく楽しく快いものになった。
二人の幸せを祈りつつ俺は、エルガーナ辺境伯領へと戻った。
本当は、転移の術で一瞬で帰れるんだが、俺とロタは、ゆっくりと1週間もかけて旅を楽しんだ。
アルモス兄は、婚約者のロザリ-と離れたくないとかで戻ってはこなかった。
アルモス兄にも幸せになってもらいたいものだ。
俺とロタは、新学期が始まるまでエルガーナ辺境伯領にできた新しい交易の町リベラを訪れていた。
もちろんギリアムも一緒だ。
久しぶりに訪れるリベラの町は、驚くほど賑やかで異国の香りが溢れていた。
王国中の商人たちが集まっているのかと思うほどの賑わいだ。
俺とロタは、町をゆっくりと見回った。
ギリアムは、山を穿って作った横穴を見て感心していた。
俺たちは、リベラの町を見渡せる小高い丘へと上った。
ああ。
俺は、そのとき初めて俺たちは、もう大丈夫なのだと思った。
前の生で無実の罪で断罪され地獄に落とされた。
でも。
ローエルタールのくれたチャンスのおかげで俺は、やり直すことができた。
俺は、ロタの手を握った。
ロタは、黙って俺の手を握り返した。
「俺たち、ずっと一緒にいような、ロタ」
「もちろん」
俺たちが男女として結ばれることはないのかもしれない。
けれど。
心は、いつまでも一緒だ。
俺は、一瞬、夢を見た。
俺とロタが結ばれた世界を。
それも、いい。
すべてが夢。
幻なのだから。
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