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「福岡支店に異動?」 「うん。六月から」  同棲3ヶ月での辞令。それをなんてことのないように言う君は、ここ横浜から九州である福岡がどれだけ遠いのかわかっているのだろうか。 「まちこは、どうする?」  君はズルい。  引っ越しに関する恋愛関係の進行権を私が持っているような聞き方だ。  ちょっと細身の彼は朝ごはんのコーンスープをサッと飲んで私の反応を待った。黒いスマホの時計表示が出勤時間まであまり余裕ないことを教えている。  例えば君がフィクションでよく語られるスパダリで、ここで婚約指輪を渡してきたり、待っていて欲しいなんて気の利いた言葉を掛けてくれるなら喜んで次のアクションをしただろう。  でも、現実の私の彼氏である君は、いつも受け身で私の意思を尊重するようなフリをして、その実自分が責任を負う決断をしないように振る舞う。 (もう別れちゃおうかな) 「数日、考えさせて」
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