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そんなこんな不安要素がありながらも、栄光学院はノックを終えて三塁ベンチへと下がる。
「おいおい星野、お前大丈夫か?マジでガッチガチじゃねぇか」
あまりにもお粗末だった星野を心配し、江夏がベンチに戻るなり声を掛けた。
「す、すいません。き・・・緊張がとれなくて」
未だ青ざめた顔をしながら星野は返事する。
「とにかくリラックス。肩の力を抜いてさ。深呼吸もいいかも」
二人の話を聞いていた城之内が、先輩として星野に優しくアドバイスを送る。
「は、はい」
城之内からアドバイスを受け、星野は早速深呼吸を試す。
「お前らもやっとけ。動きが硬いのは星野だけじゃなかったぞ」
後輩だけにやらせてる城之内らを見て、村山は三年生も深呼吸するよう促す。
「で、ですよね・・・」
痛いところを突かれた城之内らは、全くもってその通りなので言うことに従い、三年生も各々深呼吸などをして僅かでも緊張を解す。
(まあこういうもんは徐々に取れてくるもんだからな。三年生に至ってはそんな心配はしていない。ただ一年の星野はどうか・・・)
ベンチで必死に緊張を解こうとしている星野を横目に、村山は先行き不安な思いで難しい表情を浮かべていた。
そして試合開始も間近となり、村山を中心として三塁ベンチ前に選手らが集まる。
「まずは一回戦。相手は強敵だが、ここを勝てば一気に波に乗れる。目標は甲子園。その為の最初の一歩・・・しっかり踏み出してこい!」
「「ッシャア!!」」
村山が皆を鼓舞すると、選手らもそれに応え気合いの入った声で返す。
「相手が水徳一高だろうがなんだろうが関係ねぇ!俺たちは勝つ!行くぞ!」
「「オーッ!」」
続いてキャプテンの木田が声を上げ、他の皆は元気よく返し、栄光学院のボルテージは最高潮に達した。
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