エピローグ~新たなる始まりのとき?

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「君が覚えていなくても俺は覚えてる。君は大切なものの為なら死んでも構わないと俺に言った。その決意の強さも想いの深さも、俺は知っているつもりだ……」  無言で俯くラルフィーネにアールは話し続ける。 「でも、君は生きてくれた。生きる道を選んでくれた。君が生きていてくれて本当に良かった。死を選ばないでくれて……俺は嬉しい」  アールはそっと膝を折りラルフィーネの顔を覗きこんだ。 「そんなに自分を責める必要なんてないんだ。君は……その大切な記憶と引き換えに、俺達にとっても掛け替えのないものを救ってくれたんだから」  夢のように安らかな、  暖かだった幼い頃の想い出。  グレスと出会い、  愛した……。  その大切な記憶を、  グレスのために……。 「……ラルフィーネ」  呼ばれて不意に顔を上げると目の前にアールの笑顔があった。 「君は新しい人生を歩み出そうとしているんだ。今度こそ、君が愛する人と幸せになるために……」  アールの言葉と笑顔にラルフィーネは薄く微笑み小さく頷いた。
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