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(…………ルルー………)
(プ………ルルルー……)
(プル…)
「ふぁい。」
「龍!あんた一体何時まで寝てるのよ!?」
「桜かぁ…。そんで何の用よ?」
「私があんたに仕事以外で電話する訳ないでしょ!いいから早く来て!」
「おい!桜ちょっと待てよ!前の仕事が終わってまだ4日しか経ってないぞ!間を一ヶ月明けるのが俺達のルールだろ!?」
「確かにね。でもね龍、今回は訳が違うの。」
「…訳って?」
「気になるなら早く来てちょうだい!じゃね!あっ!孝はもう来てるから!」
「…はぁ……」
渋々支度を済ませ愛車のバンのキーを捻る。
(キュルルルルルル…)
(キュルルルルルル…)
(キュルルルルルル…)
(キュルルルルドロン!ドドド…)
腹の底まで響くV8エンジンが目覚めた瞬間
「はぁ……」
安堵とも苛立ちとも取れるため息を一つついた。
オーディオとエンジン音だけが一面灰色の自宅兼職場の廃倉庫にこだましている薄汚い空間に背を向け。
「行くか…」
独り言だけ残し、桜と孝のもとへ向かった。
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