0人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
俺は言った━━━
夢なんてものは脳が作りだした妄想でしかすぎない。
━━━彼は言った
妄想ならばなぜ自分の思い描くストーリーにならない?なぜ思いどおりに動けない?
俺は言った━━━
夢は映像なんだ。
映画のストーリーを好きかってに変えられない。
それと同じだ。
━━━彼女は言った
あなたは夢の終わりを見たことがありますか?
終わりのない映画なんてない。
夢は人生そのままなのでは?
俺は言った━━……
「……なさい」
「起きなさい!」
「………うぐぇっ!?」
ここ最近で最悪の目覚めだった。
ハルはそんなことを考えながら腹の上にのし掛かっている妹を振り落とした。
そして深呼吸。
「朝から随分な起こしかたしてくれるじゃねーかこのドグサレがぁあっ!!」
ニコニコしている妹を見る限り、どうやら声には出てなかったらしい。
ハルには朝から叫べるほどの元気はなかった。
元気がなかっただけで、妹を泣かすと後が怖いとか決してそんなわけじゃないから。いやマジで。
世界は今日も異常なく回っている。
時計は8時12分を指していた。
「遅刻だちくしょう…」
世界は異常なく回っているはずだった。
最初のコメントを投稿しよう!