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十夜さんから休みを命じられた時間を使って、久しぶりに病院に行った。
薬と睡眠薬を貰ったその足で、一軒のバーに向かう。
「マスター久しぶり」
ドラマのワンシーンのようにグラスを拭く初老に差し掛かったこの店のマスターはいらっしゃいと迎えてくれた。
「またか…」
そう苦笑したマスターの目線の先には先程貰った薬が入った袋。
「約束でしょ?」
そう私は笑う。
六年前、私はマスターに拾われた。
一番私が荒れ、自暴自棄になっていた頃だ。
当時私は身体を売り、その日をただ生きる生活をしていた。
そんなある日、私の事を誰かからか聞いたらしい男たちに公園でレイプされた。
誰にでも股を開いていたが、それでもレイプは私の心を更に砕いた…。
気付くとベッドの上だった。
そのベッドの持ち主こそ、このバーのマスター。
私に居場所と働く場所を与えてくれた人…。
十夜さんに会わせてくれたのもマスターだ。
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