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まったくよ!たくっ……
お湯が沸くまでかなり時間が要るようだったので野菜を切りにかかった。
玉葱の皮をむき半分に切る。その半分をまた切っていく。
並大抵のことでは涙など流さない田頭も玉葱相手では別だった。
溢れる涙をこらえ玉葱を刻む。
とんとんとんとんとんとんとん
「…でね、……みたいよ…って」
「…えっ……うそ」
近くで主婦が話をしているのが耳に入った。
とんとんとんとんとんとん
「死人がね、出たって隣の村で」
……死人?
とんとんとんとんとんとんとんとん
「昔のね、アレ、のせいだって噂よ」
「…やだ、やめてよ。」
……。
とんとんとんとんとんとんとんとん
「だってね、死体はあの儀式に掛けられたみたいだったってよ」
「やだ、あの話本当なの?儀式だなんて……、ツクリバナシでしょ…?」
……儀式ねぇ…。
とんとんとんとんとんとんとんとん
「今回の集会もそのことが関係してるみたいよ。警察じゃどうにもなんないみたい」
「本当だったら……あー!やだやだ!」
……儀式は、危ないわねぇ。嫌な予感がする。
二つのヤカンからは湯気が吹き出していた。
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