*…どうした俺…*

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 いきなり聞かれて、なんと答えようか迷った。  だってあれは嘘だから。  あの事信じてるのかと思うと、少し笑いそうになったが、ここはちょっと脅かしてやろうと思い。 「クビだけのオバケ」  と俺は心の中で笑い、顔は真剣にいった。すると、木下はちょっと顔が歪んだ。  びびってる。これでもう夜は出歩かないだろう。 「じゃあ、先生は帰るぞ」  木下はそのまま家に戻るだろうと思い、車を発進させようとした。  木下からしたら、俺、やな先生だなぁ。  でも、木下の反応はおもしろかった。  木下は周りをキョロキョロして、 「あの、ちょっと。」  と俺を呼びとめる。木下を見たが……その後何もいってこない。 「どうした、木下」  相当怖がらせたかも……無反応だし。 「おいっ、木下?」  木下を呼ぶ、すると。 「あの、ドライブ連れてってくれませんか?」  といきなり言われ、ちょっと頭が理解するのに数秒かかった。  怖いんだな……。  確かに家に1人は怖いだろう……怖がらせたし、おれは仕方ないと。 「乗れ」  といい、木下を車にのせた。木下は、素直に後ろの席に座る。  車に乗った途端、木下は安心したような表情をみせた。 「父さんいなくて、家に一人だから怖くなったんだろう」  なんてからかってみると。 「そんなんじゃありません」  と強がる、木下はやっぱり面白い。  まさか2日連続で木下を車にのせるとは思わなかったが、どこにいこうか……? 「どこかいきたいか?」 「いえ、べつに」  別にって……正直困った。
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