崩壊への足音 ~ Collapse ~

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   少しだけ夕焼け色になった空に、童謡風のメロディーが響いていく。  町の至る所に設置されたスピーカーから、午後6時を告げる時報としてそれが流れているのだ。 「バイバ~イ」 「またな♪」 「じゃあな~」  小学生にはそれが帰宅時間を告げる合図なのだろう、バスケをしていた子供たちは散り、それぞれの帰路についていく。  見ると、ほぼすべての子供が母親に連れられて帰って行く。  今思えば、殆どの親達がすぐ近くで子供たちを見ていた。  終始目を光らせておかなければならないほど幼い子供、というわけではないというのに。 「さて、俺たちも帰るか」 「そうだね」 「だな」  光司と獅郎が同意を示すようにうなずく。  一応現在は考査期間なのだ、篠崎の件もあるし帰って少しは勉強しないといけない。 「じゃあな、涼介」 「おぅ」  俺は2人と帰る道が違う、ちょうど公園をはさむ道から別れることになる。  軽く手を振りながら2人と別れて公園を出る。  
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