絶対君を抱いてみせる!

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  「…ごめん俺…純粋な愛ってわかんないんだけど…」 「…人を好きになったことはないんですか」 「え?好きだよ?女の子みんな」 「一人の人を、です」 一人の、人を? 「何それ、ありえないだろ。女の子は、みんな平等に愛してるもん」 「えっ…初恋は…」 「してない」 きっぱりはっきりそう言い放った。 平然と答えた俺に、渡辺さんはびっくりした顔で俺を見ていた。 眼鏡の向こうの目が、大きく見開かれている。 「…ありえません。じゃあ初めて抱いたのは…」 「中一…だったかな?保健室の先生。押し倒されたのは俺だけど」 「初めて付き合ったのは?」 「小学校か…幼稚園?覚えてねーけど、学年で一番可愛かった子に告られたから付き合った。 付き合ったうちに入んのか知んねーけど」 「…ファーストキスは」 「幼稚園。クラスの女の子がいきなり」 「…先輩、恋愛したことないんですね」 「必要ないだろ」 ケロッとそう言い放つと、渡辺さんは可哀相なものを見る目で俺を見てきた。 な、何で!? 「悲しい男ですね」 「き、君に言われたくないんだけど」 「まぁ、そうですけど。もうすぐ予鈴鳴りますよ」 「あー、うん。休み時間また来るね」 「嫌ですよ」 「えー!?だって女の子と関わっちゃダメなんでしょ?」 「男の人といればいいじゃないですか」 「…俺に男友達がいると思う?」 「…いないと思います」 「ピンポーン!正解ー。じゃ、また後でね」 俺は笑顔で手を振り、教室に向かっていった。 ホントは蒼がいるけど、それ言っちゃおしまいだからね。 あ、今日は天気が良いから昼飯は屋上で食おっと!
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