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ダディーがお星さまに行ってしまったら 僕は宇宙飛行士になって会いに行くんだ。
僕は息子の夢をしっかりと聞いた。本当にこの子はいつだって冷静なんだな、と思いながら。
いつだったか…大切に飼っていた猫が死んだ時もこの子は冷静にさよならをしていた。
「サト。お星さまになったミケにも会いに来てあげなさいね。」
サトとは息子の名前。ミケとは大切に飼っていた猫の名前だ。
サトは不思議そうに首を傾げた。
「ミケはお星さまになっていないよ。ミケは土になって雑草と朝顔の肥料になったんだよ。」
僕はサトが夢のない子に育ってしまったのではないかと悲しくなった。
「ミケはそう望んだんだ。」サトはそう付け足した。
「ミケが望んだ?猫なのにかい?」
「ミケが死んでいたあの場所、あれはミケが大好きな場所なんだ。だからミケはずっとあの場所に居たかったに違いないよ。
だから…。だからダディーはお星さまに行くんだ。」
あぁ。きっとサトは僕が好きだった『よだかの星』という本を読んで星になりたいと僕が望んでいると思っているのだ。
そして、星に僕の墓が建てられるのだと本気で思っているようだ。いつも冷静で真面目なサトだからこそ、この言葉には笑ってしまった。
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