始まりは玉砕から

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「あんな伏兵がいたとは思わなかったわ。…取り敢えず学校行くから」  琴美は電話口の向こうから心配そうな声で相槌を打ってくれている。…とは言え、アタシだってもう高校生。子供じゃない。 「平気。元気だけがアタシの取り柄なんだからね」  気合いを入れる為に態と明るい声を出してから電話を切った。それを即座に制服のポケットに仕舞い込むと、頬をぴしゃりと軽く叩いた。トレードマークの黒レースのリボンをキツく結び直すと、駅まで全速力で駆け抜けた…。 「おはよ」  教室に入ると琴美が今にも泣きそうな顔で近寄って来た。 (泣きたいのはアタシだってば…)  アタシは心の中で溜め息を吐いた。 「お嬢さん…、さては失恋でもしたかね?」  そんなアタシの背後から不意に声を掛けてくる輩が約一名。敢えて声色を変えているらしいのだが、余りにも耳障りな声なので何か突っ込みを入れてやろうかと振り返る。 「由紀乃っ💦」  そこに居たのは純正腐女子な由紀乃だった。…そう言えば一時期、由紀乃がアタシのコトをツンデレとか何とか…、萌えがどうのって言ってた様な…。ところで、萌えって何よ?
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