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「小僧。神気を簡単にやり取りするにはどうしたら一番良いと思う?」
狸が意味ありげに俺を見上げた。…………まさか?顔が熱を帯び赤くなる。
「まさかと思うが……その…。」
「そうじゃ。身体を交じ合わせるのが、一番手っ取り早い。」
狸があっさり言い、宗は困った顔をしてる。
「危なかったの小僧。ワシが蛇を止めなかったら、今ごろ、貞操を奪われてたな。まあ、接吻はされてたようじゃが。」
「ろっ、老師っ!!本当ですか?!私は、聞いてませんよ?!」
今度は宗が青くなる。
「阿呆。坊に言うたら、天界に迄蛇を追いかけて行ったじゃろ。」
「当たり前です!!」
狸が俺の膝から下りて、とことこ、宗の前まで歩いていた。
「坊。いや、宗。」
狸が怒ってる?!
「ワシは、前々からお主に言うていた事、憶えておるか?」
「…老師。」
「良いか?今回の蛇は、明らかに、薬嗣を狙っていた。ワシはてっきり、宗が薬嗣を守ると思っておったのに、お前の考えた作戦は、薬嗣を囮にするだと?……お前にとって一番大事な者はなんだ?だから、ワシはお前に反省させるために、蛇に少しばかり手をださせた。自分で守ら無かった癖に、その事で焦り、挙げ句のはて、己の職務も忘れて、蛇をおいかけるだと?愚か者ほどがあるわっ!!」
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