愛されるにわ…

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愛されるにわ…

雨は止まない   今もなお   激しく降っている   ライオンは   谷底に落ち   体中傷だらけ…   血がとめどなく流れる   ライオンは思った   『もぅダメかも知れないな…』   そう考えると   今までの自分が   頭の中を   駆け巡った…   サバンナでは   皆に恐がられ   嫌われ…   誰一人友達はいなかった   ずっと一人で寂しかった…   つまらない生涯だったな…       その時だ…   空から   何かが落ちてきた   それは   谷の上のヤツのモノだった   「お前はぃぃな…  何も恐るわけもなく  太陽の様にただ  そこにいる…  もし生まれ変わるなら  お前の様な姿になれれば  俺も愛してもらえるかな?」   ライオンは   一人が寂しかった   ずっと誰かに   傍にいてほしかった…   ただそれだけなのに   サバンナでは   嫌われ者だった…   しかしライオンは   最後に大切なヤツに   出会えた…   空から落ちてきた   そいつのモノを   握りしめ   今にも   消えそうな声で   こう呟いた…   「もぅ元気な声はでないけど  不思議と寂しくはないぞ…  お前に出会えたから…  濡れた頬のこの涙の冷たさ  も、恐らくお前が  奪ったんだな……」   そう言うと   ライオンは   静かに眠った   本当に静かに…   二度と覚めることのない   眠りについた…
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