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ユウタはスッと立ち上がると
「さて、勝負の続きは?」
と言うと
「まぁまぁ、お互い頑張って受かろうよ。リオナ失格にしたくないもん」
アンナが笑って答えた。
「…アンナさん、もう一度手合わせ願います」
「ちょっと、ユウタ。これ以上戦わない方が良いじゃない」
ヒロキは慌てて抑えると
「今俺たちの方が“弱い”って言われた。弱いヤツって言われるのは我慢ならねぇな」
ユウタは目線を真っ直ぐにアンナを見た。
「…分かった。もう1戦交えましょう」
アンナは構えると、他の4人は下がった。
ユウタは地面を強く蹴ると、アンナの懐へ飛び込んだ。
アンナの左手はユウタの顔へ伸びると、ユウタは左手で叩き落とした。
すかさずアンナの右足でユウタの左足を蹴ると、ユウタは左足を軽く上げて防ぎ、そのまま前に踏み込んで軸になっている左足を左足で払うと、アンナは尻餅をついた。
間髪を入れることなく右の拳をアンナの顔へ打ち込んだ。
「わぁっ!」
リオナが思わず声を上げた。
よく見るとユウタの拳は顔の前で止まっていた。
「…どうだ?」
「参りました」
ユウタは拳を退けると、アンナに手を差し伸べて立たせた。
「さっきの言葉、撤回します。これならリオちゃんを任せれます」
アンナが笑顔で頭を下げると、ユウタも頭を下げた。
「マリーさん、指示を無視してごめんなさい」
「良いの良いの」
イヤフォンからマリーの声が聞こえた。
「ちょっとお互いの通信機、上手くくっつけて。ちょっと向こうのナビゲーターと話すから」
と言われて、アンナの通信機を借りてユウタの通信機と並べて会話させた。
ヒロキとリオナは通信機を着けたままのため、盗み聞きをしていた。
「あ、どうも…あぁ、アナタか…そう、2倍貰えるワケよ…うんうん、分かった」
しばらくすると会話が終わった様で
「これからは共同作戦だからね。お互い頑張りましょう」
とマリーの声がヒロキたちに送られた。
「ところで2倍と言うのは…」
ヒロキが聞くと
「あぁ…えぇっと」
マリーは答えにくそうに言葉を濁した。
「“ボーナス”ですよね」
モモコが言うと、ヒロキは
「ズルいですよ!僕たち危ない目にあってるのに」
と怒鳴った。
「大丈夫よ。勝ち残ったら賞金がちゃんと出るから」
「ホントですか?」
「やったぁ」
6人は嬉しそうな顔をした。
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