第一章 ~追憶~

2/2
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
(なぁ、覚えてるか?…12年前のあの夏。ラジオじゃ「猛暑」って言われてたのに、やけにあの夜は肌寒かった日のこと…。みんな待ってる。だから俺たちの元に早く帰って来いよ…) ―12年前、夏 照り付ける太陽と荒れ果てた荒野、そしてその荒野の真ん中に不気味なほど巨大にそびえたつ大型製鉄所「労働組合矢谷製鉄所」、通称「労矢(ロウヤ)」はあった。 その名の通りここは犯罪を侵した20歳未満の者が労働を強いられる言わば小型刑務所であり、そのため広い敷地の周りは到底登ることのできない程のフェンスで仕切られ巨大な牢獄と化している。 今日もまた全国で犯罪を侵した者がロウヤに運ばれてきた。 ロウヤ警備員:「お疲れさん。今日はどんなゴミ共が入ってきたんだ?」 運転手:「今回の小僧達は今までのとは一味違うぜ。せいぜい足元すくわれなさんな。まぁーアンタ等がとやかく言う前に【あの男達】が黙っちゃいねぇだろうがな…」 含み笑いをしながらそう言い残し運転手はトラックの荷台から手錠をはめられた10名程の男たちを下ろし荒野を後にした。すぐさま警備員が男達の倍以上集まり捕縛、連行、監禁を済ませた。 …しかし、誰が思っただろうか…。その中にあの世間を賑わせた大事件を起こす【張本人】が居たことを…。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!