ヴァンパイアと魔法

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 ヴァンパイアはどこにでもいる。国境も関係ない、やつらはどこにでも現れる。  だけど奴らが多い地方と言うものもある。例えばレクノア帝国。あそこは哀れにも最もヴァンパイアたちの巣に近い場所にある国だ。  まさに今ボクがいる国がそのレクノアだ。レクノアの人間たちはヴァンパイアに対して警戒はして常に銃や剣などの武器を持ち歩いている。家の作りも見るからに頑丈そうで、ドアは分厚い鉄板のようだった。  これを見ていると、人間もただ食べられているだけじゃないんだなあ、と思わされる。  けれどヴァンパイアと人間とじゃもって生まれた力の差と言うものがある。どんなに武装しようと、ヴァンパイアに一旦狙われれば一溜りもないのが事実だ。  それでもレクノアの人間というものを食べるのは、ヴァンパイアたちにもひと苦労なようだった。人種によってそれぞれ特徴がある。レクノアの人間は黄色がかったやや暗めの肌と、少しつり上がった目。内面的にはやや気性があらく、動きは機敏で拳法という独特の対術をかじったくらいの人間も多い。  それは身をもって知っている。レクノアの人間は何人も食べているけど、うち何人かは拳法を使い小さな反撃をしてきた。
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