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暗闇にまぶたを落とせば
いつだって裏側に像が広がる。
夢とか映像とか、そういうはっきりした類のものじゃない。人の顔だけだとか、眼だとか、放物線だったり球状だったり…ただ光のようなモノの時もある。
捉えようとしては消え、新たに形を作り出す。
形を変えては眼球に向かって…、こちらに向かって消えていく。
また…。
思うが先か、背中が軋む。
そして、今日も眠れない。
気づいてはいけない思考の産物に、気づいてしまった。
肩甲骨のあたりから圧痛にも似た重みを感じ、和らげようと手をのばす。
眠気の波はひくことはない。眠れないことが苦しいだけ。妨げる痛みが、朝方まで消えることがないのは長年の経験からわかっている。
捉えようとして捕われてしまった。
いつだってそうだ。見ようとしてはいけない、考えてはいけないのに。
ただ暗闇に、身を落とすイメージを…すればいいだけなのに。
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