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耳に手をあてる。
奥でうるさくなる鼓動が、一層神経を逆なでる。
眠りたいのに…
僕が眠れなくなる原因であり、僕に常につきまとう焦燥の所在…。
3年前から頻繁にやってくるこの痛み。始めは、器質的な問題じゃないかと近所のクリニックや病院に通いもしたけど、原因が僕自身だということに気がついてからは、足が遠のいてしまった。
緊張しているんだ。
僕は。
怯えている。そう表現してもいいのかもしれない。
自分自身に怯えている。
そして、いつ壊れるともしれない現実に怯えている。
未来なんて…姿を捉えられない、目の奥の像みたいだ。
僕に未来があるなら
きっと、堕ちているに違いないんだから。
僕はひとこと
『…たすけて』
と呟いてみてから、その行為の滑稽さに、陳腐な泣き言に、眠るのをやめて起き上がった。
今夜はユメクイがきている。
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