―第1章―

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「葉子先輩!」 休み時間、理央はいつものように私の教室へ来る。付き合ってだいたい一ヶ月。欠かした事なんてないと言って良いほど毎日来る。 「ちょっと理央…ここは2年の校舎だよ?」 本当は嬉しいのに素直になれない。 「むー。そんな事言うんですかぁ?」 「はい、はい。もう少しでチャイム鳴るよ?早く戻りなよ。」 「うわぁーん!せっかく走って来たのにぃ…」 そう言って泣く振りをする。 1年の校舎は2年の校舎と正反対の位置。理央の足じゃどれだけ頑張っても5分以上はかかる。 「よしよし、また後でね。」 頭をポン、ポン…と叩いて理央をなだめる。 理央の髪の毛って短いけどサラサラしてて、気持ち良いんだよなぁ…。 「じゃあ又お昼に来ますっ。一緒にお弁当、食べましょうね?」 「了解。」 そう言って理央は1年の校舎に戻って行く。
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