「変わった女」

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 ある学校、ある教室の放課後。ガランと空いた教室内に、ただ一人机に向かう男子生徒。   身成りは、背丈大体170センチ半ば。わりと整った顔立ちに、セミロングの無造作ヘア。 現代っ子と言わんばかりの着崩した学ランを身に纏い、彼は机の上で作業をしていた。   椅子に座る姿勢は悪いとしても、机に向かう姿勢は褒めるべきであろう。 おそらくは、受験の為に残って試験勉強をしているのでーーー   「あ~くだらん」   …前言撤回である。 ”くだらない”この言葉からは、もう進んで勉強に励む精神は見られないからだ。 受験勉強でなければ、彼は今何をしているのだろうか。   「何が進路だ」   事は見え始める。   「夢ってなんだよ夢って。え?夢って何?つーか何?夢あるやつすげ~」   状況は大体つかめてきた。彼は、受験勉強はおろか、その前橋も渡らぬ段階、”進路”が決まっていないのだ。   時期は、月満ち足りて紅葉染め出す九月。 この時期には進学か就職か、せめてそれぐらいは決まっているものである。しかし彼は、それすら決めることが出来ない状況のようだ。   先程の夢なんたら発言。これに関係するのだろうか…。   ガラガラ… 「ん?あれ?」 「?、うわ…」
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