1人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
ある学校、ある教室の放課後。ガランと空いた教室内に、ただ一人机に向かう男子生徒。
身成りは、背丈大体170センチ半ば。わりと整った顔立ちに、セミロングの無造作ヘア。
現代っ子と言わんばかりの着崩した学ランを身に纏い、彼は机の上で作業をしていた。
椅子に座る姿勢は悪いとしても、机に向かう姿勢は褒めるべきであろう。
おそらくは、受験の為に残って試験勉強をしているのでーーー
「あ~くだらん」
…前言撤回である。
”くだらない”この言葉からは、もう進んで勉強に励む精神は見られないからだ。
受験勉強でなければ、彼は今何をしているのだろうか。
「何が進路だ」
事は見え始める。
「夢ってなんだよ夢って。え?夢って何?つーか何?夢あるやつすげ~」
状況は大体つかめてきた。彼は、受験勉強はおろか、その前橋も渡らぬ段階、”進路”が決まっていないのだ。
時期は、月満ち足りて紅葉染め出す九月。
この時期には進学か就職か、せめてそれぐらいは決まっているものである。しかし彼は、それすら決めることが出来ない状況のようだ。
先程の夢なんたら発言。これに関係するのだろうか…。
ガラガラ…
「ん?あれ?」
「?、うわ…」
最初のコメントを投稿しよう!