第五章

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 あきれて見ていた僕の視線に気づいてトコは、恥ずかしそうに、はにかみながら目を伏せた。 {美味しい?} {私、ここのメロンパンが大好きなの。中はふわふわで、外側はカリカリだから} {いつもそうやって食べるの?} {ここのメロンパンだけよ。はい! メロンパンの正式な食べ方でした。ごちそうさま}    両手を合わせたトコの仕草が幼い子供のように可愛いかった。  僕も半分ほど残っていたメロンパンをトコみたいに中身を先に食べ、後から黄色い皮の部分を食べてみたが、やぱっりそのまま丸かじりした方が絶対に旨と思う。  食べ物に関してトコは絶対に変だ。豆大福は豆だけ先に食べてしまうし、冷や奴はぐちゃぐちゃにしてから食べるとのことだ。トコとつき合っていると、これからもっともっと面白いことが有りそうで楽しみだ。  食べ終わってテーブルの上を二人で片づけてからトコは、窓の外のカーテン越しに、風で揺れる洗濯物の一部が無いのに気がついたようだ。始め何が無くなっているのか解らないようだった。 {あれ? 弘の……パンツは}
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