プロローグ

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「またか…。何なんだ…この事件」 刑事らしき若い男は深いため息をついた。 この若い刑事が悩まされているのは近頃頻繁に起きているある事件だった。それはこの刑事が初めて任された大仕事でもあった。まだ若いにも関わらず、こんな大きな事件を任されることは異例だ。そしてそれはこの男、神木悟がその実績を認められている証拠である。本当はそのことを誇りに思うべきなのだろうが、それは刑事にとって重荷でしかなかった。 この刑事、いつもなら自意識過剰なほど自信満々なのだが今回はそうもいかない。何故ならこの事件、犯人へ繋がる証拠がほとんどなく、警察が調べた限り被害者に共通点は見当たらないのだ。つまり、ほぼ白紙からのスタート。唯一描かれているのは意味不明な『鏡の中のアリス』という文字のみ。 今までに事件を解決出来なかったことはないんだ。そのプライドをどうしても守りたい。 プライドの高い刑事は追い詰められていた。
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