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――集合時刻10分前
オレはすでに自宅の前に立って待っていた。
オレ、偉いっしょ?
女を待たせるなんて男のクズだからね。
なーんて言ってみたけど、実は先輩に怒られたくないだけだったりする。
だって先輩、こういう時は来るのが早かったりするんだよ…
普段は社長出勤のくせして。
まぁそんなわけで、10分前から外に出てるわけっスよ。
んなわけでもう一度、偉いぞ、オレ。
などと思考していると、左側から人の気配がした。
「こんばんは~、結祈くん早いですねぇ」
日和さんか、今日は早いな。
ちなみに、日和さんはかなりマイペースらしく、いつもは集合が遅いのだ。
「こんばんは、日和さん今日は早いですね」
「あ、あはは…今日は遅れると本気で怒られそうですから」
そう言うと、日和さんは少しバツが悪そうな顔で笑った。
オレが帰った後でなんかあったのか?
「そ、そういえばぁ! 月乃ちゃんに頼まれた物ってなんだったですかぁ?」
うわっ、かなり強引に話変えやがった!
しかも、よりにもよってその話かよ…
「えっと…あ、あれはちょっと…」
アレの話はしたくない…
うぅ、真面目に手紙を受け取った自分がアホらしいわ。
よくよく考えれば、先輩がオレに何か真面目な事を頼むなんてありえない。
それに笑顔もちょっち怪しかったし、はぁ…
そんな感じで、オレがネガティブモードに突入しようとしていると、日和さんに呼ばれた。
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