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目は細いけど眼光鋭く、あごがシュッとしてて凛々しい顔立ち。
そんな無敵の剣士には弱点が一つ。
「じ、実は俺も」「えええっ!?向井君もバクに会ったのおおおおおっ!?聞かせて聞かせてっ」
目にも止まらぬ早技で剣道部のホープの懐へ滑り込み、その右手を両手で掴んでぴょんぴょん跳ねるひかり。
向井君の弱点。
嗚呼……女の子に弱いっ……!
距離感ゼロのひかりは天敵とも言えるっ……
「ば」
向井君は真っ赤になって燃え尽きた……
「ひかりひかり、向井君話せないじゃないの!」
その時ひかりの携帯が、映画星間戦争のテーマのイントロを盛大に奏でた。
いきなり鳴るとびっくりするし恥ずかしい。
「はーい!どうしたの叔父さまっ!」
ひかりは最近流行りの二つ折りの携帯を、スカートのポケットから目にも止まらぬ早さで取り出してクルクルっと回して開き、通話を始める。ちょっと待って、今どうやったの後で教えて!?
まあ、とりあえず助かった。
もう少しで、具体的に行動の予定と協力の要請をされる所だった。
でも、叔父さまって事は……
『由鳥、ほむっちが私達に会いたいってさっ。いつもの場所に行こ行こっ』
ひかりの叔父さんは歴史の穂村先生。
もちろん普段は学校で叔父さんなんて呼ばないけど、ほむっちは如何な物か。
「……おっとっと。お願いちょっと待ってってば!」
言うが早いか、ひかりは妖怪さんのイラストを片手に、私の手をもう片方の手で引っ張ってずんずん歩き出す。
ちょっと、向井君はほっといていいの!?
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