別れ

6/12
6104人が本棚に入れています
本棚に追加
/223ページ
海斗は、尚樹がいなくなるのを確認してから春菜に近付く。 「…高城さん。」 春菜は、布団に包まったまま顔を隠して沈黙していた。 「先生に俺達付き合ってるって言っといたから。」 海斗がそう言ったのを聞いて、春菜は布団の中から慌てて起き上がった。 「…なっ…なんで……」 起き上がった春菜が座るベッドに手をつき、 春菜に顔を近づけクスクス笑いながら海斗は囁いた。 「どうせ別れるんだから…早めに先生に教えてあげようと思って。」 春菜は信じられないと思いながらも、海斗を睨んだ。 「…最低です。」 そう精一杯の恨みをこめて海斗に呟く春菜の目には、 涙が溜まっていた。
/223ページ

最初のコメントを投稿しよう!