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群馬県、足高(たしだか)原子力発電所――。 ここでは主に、関東西部やその一帯の電力を供給している。規模はさほど大きくなく、原発の例に洩れず山奥にひっそりと存在する。 ここに勤めている大下隆平(おおした りゅうへい)は、ちょうどその日体調不良で休んでいた。働き始めたばかりの二十五歳である。 隆平の家は東京にある。都会の優雅な暮らしに未練があって、わざわざ毎日東京から通っているのだ。 だが、むしろ重要なのは『この日に休んだこと』かも知れなかった……。日々のメンテナンスに非の無い、小さな原発で起こった重大なトラブル。やがては日本全体の危機となるそのアクシデントを、関係者のなかで唯一見届けることが出来たのだから……。
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