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私はいつも近所の公園で考え事をする。
「はぁ。」
古びたブランコが揺れる度に音を立てる。もうあたりは綺麗なオレンジ色に染まっていた。
「なんで私だけ……。学校なんていきたくないな。はぁ。」
私は学校で些細な事でいじめを受けていた。担任に相談しても『あなたにも何か原因があるんじゃない?』と話にならない。
今の私には頼れる人がいなかった。
しばらくするとランドセルを背負った子ども達が4人走りながら私の前を通り過ぎた。
「博樹まてよ。おいっ。」
「やめろよ。痛いだろ。」
内の一人の少年が背中を押された拍子に倒された。そしてランドセルの中を地面にばら蒔くと「ばぁか。」と言い走っていった。
「大丈夫?」
私は地面にばら蒔かれた教科書を拾いながら少年に問掛けた。
「うん。大丈夫。ありがとう。」
少年は笑顔で答えた。
その少年の笑顔につられて私も笑顔になる。
「僕強いんだね。」
「こんなのへっちゃらだよ。あいつらになんか負けられないよ。」
全ての教科書を拾い終えランドセルを背負うと少年は「お姉ちゃんありがとう」と笑顔で去っていった。
私は笑顔で少年に手をふった。
「こちらこそありがとう。」
人の笑顔を見たのは久しぶりだった。私自身も笑顔を忘れていた。
夕陽に照らされた少年の笑顔。
今の私に必要な物。それは自分の為に笑うこと。
~END~
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