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水銀灯の明りを頼りに少女は暗い森を走る
「早く、早くここから離れなくちゃ……」
だが、水銀灯の明りは既に弱り果て黒を纏わんとゆらりゆらりと息をしている………
「だめっ、まだ消えないで貴方の光がなければ私は前に一歩も進む事が出来ないわ」
叫びも虚しく黒は光を喰いつくそうと口を開き『ゴクリ』と消滅をもたらした………
「あ……どうしよう」
その時、少女に何かが近付いてくる………
「だ、誰っ?私に何をするつ……………」
ザシュッ!!!
「…………ドサッ」鈍い音が静寂を切る…
そして………足元に広がる赤を眺め
「明りはお前の命の光、明りが消えればお前も消える…………ケヒッ」
と静かに語りかけ
「今宵もまた赤は美し……明日の赤をまた求め今宵はこれにて……」
………………ザクッ!
裂けるような音ともに命全て天へ駈け登る
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