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プロローグ
とある世界の狭間で背中に天使のような翼と、額に七本の虹色の刺、そのすぐ下に三つめの目を生やした、巨大な金色の狼が、長大な武器--片方の先端は槍とも矛とも見える、もう片方の先端はハンマーとも鎌とも見える--を持った、金色の狼より小柄な体格の神と対峙していた。
「………言いたいことがあるなら言え」
狼が喋る。中性的な声だ。
「なら、一言。…あれは誤解だ!」
神が喋る。男性の声。
「嘘だーー!」
狼が吠える。
魔力を含んだ吐息を神に吹き掛ける。
「くっ!」
武器に聖力を注ぎ込み、その場で回転させて、吐息を防ぐ。
「何故、信じてくれないんだ…」
武器を構え、急接近して槍のような方で突く。
「うわっ!」
紙一重で避ける。
「このっ!………-光よりも明るき者、闇よりも暗き者、月明かりに照らされし、偉大なる汝が名において。我の呼び声に応え、我が前に立ち塞がりし、全ての愚かなる者へ、我と汝が力持て、等しき滅びを与えんことを-」
呪文、詠唱。
〔ラグナスレイブ〕
呪文完成、そして魔法が発動する。だが、それと同時に神も呪文詠唱し呪文を完成させて、魔法を発動させる。
「…-海よりも深き者、山よりも高き者、生と死の境界線の上から見下ろしし、偉大なる汝が名において。我に助力せよ、我が前に立ち塞がりし、全ての愚かなる者へ、我と汝が力持て、等しき滅びを与えんことを-」
〔ブレススレイブ〕
魔法を相殺する。
魔力と聖力の衝突、そして、無数の神々や魔族の中でも、最強の神と悪魔の激突。
この戦闘が後に、ある世界を巻き込んだ大規模な戦争が起き、ある国の双子の吸血鬼の運命が大きく変わる。
だが、それはまだ誰も知らない。
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