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「それで、連れはどうした?」
「そうだ、エリス様!」
慌てて辺りを見回すと、ゆっくりと近付く飛行物を見つけた。
エリスだ。
「…おい、顔色が悪いみたいだが大丈夫か?」
「船酔いしていたみたいですからね、そのせいでしょう」
エリスがゆっくりと降り立つ。
飛行のコントロールはシルフ任せにしてあるから良いが、今にも吐きそうだ。
「エリス様、どこにお逃げになるおつもりで?」
「奴を見付けたんだ。
この船に飛び乗る所までは見たんだが…
どこに行った?」
「奴ってまさか…」
「飛び乗って来た奴なら、賠償金を払って帰ったぞ」
何も言えなくなったセイドに代わり、シオンが答えた。
「お前、さっきいきなり出て来たが一体何者だ?」
「私は何でも屋ギルドの者だ。
この船の船長から甲板での騒ぎをなんとかしてくれとの依頼を受けて出て来た。
出来れば、事情を船長に説明して貰いたいのだが」
「…港に上るまで待ってくれ、今はちょっとな」
船酔いでそれ所では無い。
「それから、さっきの奴だが…
探しているならば、ギルドで調べてみるか?
名乗って行ったから、ある程度は分かるかも知れん」
「本当か?ならば頼む」
やっと手がかりが掴めた嬉しさは、すぐに船酔いでかき消された。
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