安堵…かつての仲間たちの来訪

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 入院生活の場所が、四階から六階に変わった。体調が、かなり安定してきた為だ。この頃から、もう一つ出来なかった事が出来る様になった。それは・・・    私「なんで中まで入るん!」  看護婦「万が一、入浴中になんかあるかもしれんじゃろ?」   私「大丈夫やってば。それに、そんなにジロジロ見られたら、服脱げんがな!」         看護婦「気にせんで。私らは見慣れとるけ。」         私「いやいや、そういう問題やなくて・・・・」         そう、入浴である。外傷が頭部にある為、慎重にならざるをえなかったのだ。とはいえ、最初は久しぶりに入れた気がほとんどしなかった。というのも、服を脱ぐところから、入浴するところまで、四六時中監視されっぱなしなのである。清潔になったのは良かったが、むしろ疲れはたまる一方だった。そんな折である。私に見舞い客がいるというので、ベッドで待っていた。すると、ほどなくして見覚えのある見舞い客が入室してきた。男性二人に女性一人。いずれもかつて働いた事のある会社の同僚で、特に女性に関しては私の直属の部下的な役目をしていたので、すぐに誰が誰か理解出来た。男性二人は、大した事なさそうな事を見ると、安心している程度だったが、女性は違った。目に涙を浮かべ、ゆっくりと話し始めた。女性「○○さん・・・本当に、本当に、大丈夫だったんですね。」私「うん、少し頭痛はするけど、事故の規模を考えたら、大助かりだって主治医の人に言われたよ。だから、大丈夫!」      女性「良かった・・・・本当に、本当に、良かった・・・・・・」 女性は、今にも泣きださんばかりの感情を必死に押し殺して、一言一言押し出す様に、話してくれた。私の体調が完全に落ち着いた訳ではない事もあり、長時間の面会は出来なかったが、その女性からもらったパワーを、決して無にせず、頑張り抜く使命が出来たと感じた、一日となった。
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