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さっきまで苛立ちを覚えた笑顔は、妙にアイツに似ていた…
「ねぇ!ちゃんと教えてよ」
俺がぼーっとしていると、
女は怒ってシャーペンの後ろで俺のほっぺたを強く突っ突いた。
「いってぇーな!」
俺の怒ってる姿を見て、
ゲラゲラ笑うその顔はやっぱり何処かアイツに似ていた…
ーあの日
勉強を教えてから、
あの女はときどき俺の眠っている保健室に来るようになった…
正直言うと隣りに座るこの女がうるさくて全然眠れない。
「じゃあ質問です!私の名前は何でしょうか?」
この会話の無い空間に耐え切れなかったのか、
女は俺にどうでもいい質問をしてきた。
「さぁ…」
俺は女の居る方向とは逆の方向に寝返りをうって、
素っ気なく答えた。
「私の名前は麻木 朝香よろしくね!」
朝香は、寝返りをうった俺に手を差し延べながら元気一杯の笑顔で自己紹介をした。
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