『あなただけ 君しか』

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 ――どうしてこうなっちゃったんだろう。    皆が寝静まった深夜、私は一人夜道を歩いていた。  裏道なので街灯なんて洒落たものは無いが、半月の光が街灯の代わりに夜道を照らしてくれている。    ――本当なら今頃は彼と仲良くDVDを見てたはずなのに。    私は立ち止まり大きく溜め息を吐く。    きっかけは彼への電話。  携帯から漏れる女性の声。  この間は有難う、と楽しそうに笑う彼。  まだだよ、と気まずそうな表情の彼。    電話を終えた後に誰から?、と聞いても友達、と素っ気ない返答。    何だかその態度が気に食わなくて――ううん、違う。  言いようのない不安に駆られた私は、隙を見て彼の携帯を取り上げた。    そうして見た最新の着信履歴。  そこにあったのは私の親友の名前。    ――なんで? なんで彼が番号を知ってるの? なんで私の知らないところで連絡を取り合ってるの?   「おい」    彼が携帯に手を伸ばしたので、私はそれを反射的に避ける。
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